たくさんある、論語の本
論語は、春秋時代中国からながい間読まれつづけている本です。
現代語訳・解説本は山ほどあり、初めて読む方はどれを読めばいいか迷うと思います。
そこで、この記事では「論語本」はどう読めばいいか、どんな本があるのか
実際わたしが読んできた本の中から、ジャンル別に紹介します。
最低2冊は持つべき理由
論語に関する本はいくつもありますが、一冊だけでは足りないです。
同じ「論語」をテーマに語った本であっても、内容は本によって全然違うのです。
理由は二つあります。
理由① ターゲットが違うので、伝え方が変わる
ほとんどの場合、本は、誰に何を伝えるのか明確に決まっているものです。
論語の本も同様です。
同じ「論語」という題材であっても、
どのように伝えようとするか、本によって様々です。
- 本をあまり読まないが、最低限の教養は身につけたい人
- 読書のお供に、全文訳されたものを読みたい人
- 内容をより理解したいので、解説を読みたい人
人によって、論語を読む目的は異なります。
なので、それぞれのニーズに合った本が出版されているのです。
本によって、伝え方は大きく変わるのはそのせいです。
これは、自分に合った本を探すことが難しい要因のひとつでもあります。
理由② 訳者の存在
「論語」の元の言語は昔の中国で使われた漢文です。
ですが、漢文を正確に読めて、完全に理解できる人はほとんどいません。
そんなときのために、現代の学者・翻訳家・作家さんたちが
わたしたちのために現代の日本語で訳してくれるのですが、
翻訳はどうしても、原文を完全に再現することは不可能です。
どんな名訳であっても、作者そのものの言葉にはなりえないのです。
翻訳書では、原文のニュアンスは必ずいびつな形になります。
完全に孔子の教えを再現することは不可能なのです。
ですから、
論語の教えを深く知りたいのであれば、一冊では不十分なのです。
どんなに詳しい本だとしても、一冊では不十分
以上の理由から、
本記事では論語の本は二冊以上読み比べることをおすすめしています。
おすすめの組み合わせ
とはいえ、
二冊以上と言われても、同じような内容の本を二冊以上買うなんて
そんなにお金をかけられないと感じるかと思います。
そこで、わたしのおすすめの組み合わせを紹介します。
まず今回の記事で紹介する論語本を、主観ですが以下のカテゴリに分類します。
①現代語訳
②解説・紹介本
③意訳版、ビジュアル版
この中からおすすめの組み合わせは以下の通りです。
①現代語訳 + ②解説・紹介本
①現代語訳 + ③意訳版、ビジュアル版
現代語訳、論語全体を通して読む本は必ず持っておくべきだと思います。
大体の場合は原文の漢文が乗っていたり、音読用にふりがな付きの書き下し文があったりします。
ただ、「難しい」という声もあります。
その場合は意訳や図説の本から入るといいです。
この場合、以下の組み合わせになります。
③意訳版、ビジュアル版 + ②解説・紹介本
①現代語訳 持ち運びやすい文庫がおすすめ
ここからは、各ジャンル別におすすめの本を紹介します。
実際に読んだものだけを紹介しています。
岩波文庫の「論語」 訳:金谷 治
わたしがたびたび読み返している論語の本です。
訳が簡潔で平易です。漢文→読み下し文→現代語訳のシンプルな構成。
シンプルなので解説は余計なものだと感じる人はいいのですが
あまり論語に親しくない人、「論語」の背景を知ってから読みたい人は、
②解説書や、③意訳、図解と一緒に読むと、理解が深まります。
巻末には
語句で検索できる語句索引(たとえば、"仁"という言葉が出るのは何ページか分かります)と、
人名で検索できる人名索引があり、さらに勉強したい方も使えます。
もっと詳しく勉強したい人にもおすすめできる一冊です。
②解説・紹介本
『渋沢栄一「論語」の読み方』
新一万円札の顔になったことで、一躍話題になった渋沢栄一。
『論語と算盤』を読もうと思った方、
改めて読みなおそうと思った方も多いのではないでしょうか。
読んだ方はご存じの通り『論語と算盤』は、
論語の教えをビジネスや日常に活かすべしという、
現代で言う自己啓発・ビジネス書のようなものです。
渋沢栄一の「論語」の名著は、論語と算盤だけではありません。
それが『渋沢栄一「論語」の読み方』です。
渋沢栄一は『論語と算盤』で論語を読みなさいと言いましたが
「渋沢栄一は論語の、どの部分を、どのように感じたのか」気になる方もいると思います。
実際に読んで、実績をおさめた人による解説は何より貴重です。
書店で『論語と算盤』を置くならこれも一緒に置くべきだと思っています。
これ、ものすごく欲しかったのに書店であまり売ってなくて、探すのに苦労しました。
今の時代はネットショッピングで手軽に買えるから、いい時代になりましたね。
③意訳版、ビジュアル版
一億三千万人のための『論語』教室 高橋源一郎
全訳で、構成も読み下し文→現代語訳のシンプルな構成です。
ジャンルとしては①現代語訳と同じ構成の本なので、①に入れてもよかったのですが、
王道の翻訳書と並べるには高橋源一郎先生の主張が前面に出すぎているという理由でこっちに入れました。
クセが強いです。好みがはっきり分かれる書だと思っています。
現代語訳、というには高橋先生の考えが入りすぎなような気がします。
また、いくつかの節に、カッコ書きで高橋先生の補足?がつくのですが、
孔子の教えの補助としてプラスになっているかといわれると、疑問符がつきます。
人を選ぶ論語本であるのは間違いないです。
しかし、とても分かりやすい・読みやすい現代の言葉で書かれていて、
なおかつ全訳したものは貴重です。
なじみのある言葉で訳されているので、日常生活にすっと入ってきます。
小説やエッセイを読むように論語を読みたい人にはおすすめです。
眠れなくなるほど面白い 図解 論語
「論語」の言葉からいくつか抜粋して、図と絵で分かりやすく解説した本です。
文庫本より少し大きめで、
字も大きく、図解というだけあって読みやすいです。
読みやすいだけではなく、コンパクトな内容ながら内容も充実しています。
「論語」が生まれた背景までこの一冊で学ぶことができます。
この本から読み始めて、難しい本に挑戦するといいでしょう。
まとめ
本記事のまとめ
・論語は二冊以上読んで比較すべし!
・シンプルな現代語訳をベースに、補足・図解などを副読本として読むのがおすすめ
以上、おすすめの本を紹介しました。
好きな本を読んで『論語』を楽しんでください。
高橋先生の主張が激しすぎると感じる部分は、
「孔子の弟子である高橋源一郎先生独自の意見」
と解釈しながら読むといいんじゃないかな、と思います。
孔子の弟子もいろんな人がいますからね。