今回は『人はなんで生きるか』という本を紹介します。
かなり宗教色の強い内容ですが、
物語としても興味深い内容になっているので、気になった方は読んでみてください。
『人はなんで生きるか』はこんな本
キリスト教的な思想の五つの短編集
この本の短編集には五つの短編小説、表題作の『人はなんで生きるか』をはじめ、他四編
『火を粗末にすると――消せなくなる』『愛のあるところに神あり』『ろうそく』『二老人』
がありますが、どれも非常に宗教的な内容です。
「神の教えを守ることで物事がうまくいく」「神の教えを信じればよいことが訪れる」と、繰り返し説かれています。
この本に出てくるお話にはどれも、
キリスト教に関係することばが出てくるよ
とはいえ押し付けるためのものではなく、キリスト教の教えも、道徳的に大切なことの範囲です。
『人はなんで生きるか』は宗教的であると同時に、道徳的であるといえます。
この本で説かれている内容自体は、信じている宗教・思想に関係なく響くものだと思います。
こうしてすべての人は、彼らが自分で自分のことを考えるからではなく、人々の心に愛があることによって、生きていっているのです。
トルストイ.トルストイ民話集 人はなんで生きるか(訳中村白葉
).岩波書店.2021,p.53
本の厚さ自体は薄い、ただし
この『人はなんで生きるか』ですが、手に取っていただくと分かるように、
岩波文庫のなかでもかなり薄い方になっています。
この薄さの中に5つの話が入っていることから、一つ一つの話が短いことが分かると思います。
ただし、注意点として、
小説に慣れていない人がこの本から読み始めると挫折するかもしれません。
なぜかというと、本自体がかなり昔からある本だからです。
『人はなんで生きるか』は、
初版は1932年、改版は1965年発行と、岩波文庫の歴史から見ても長く読まれている本です。
そのため、今では使われていない言葉・言い回しも多くあります。
おまけに海外文学の翻訳物であるから、
人名もカタカナで、物語の中の文化も日本とはなじみの薄いもので、
さらには宗教の用語まで(一部ですが)登場します。
なので、薄さの割には読むハードルが高いと個人的に思うのです。
それでも読んでほしい本には変わりないので、ぜひ挑戦してみてください。
きっと人生において大切なものを、思い出すはずです。
まとめ
以上『人はなんで生きるか』を紹介しました。
本記事のまとめ
・5つの短編小説がまとめられた『人はなんでいきるか』
・キリスト教の考えが深く刻まれた短編集
・薄いが、初心者向けではない。それでも大切なことが書いてあるのでぜひ読んでみてほしい