話題作『成瀬は天下を取りにいく』がとてもよかったので、簡単に紹介させていただきます。
『成瀬は天下を取りにいく』紹介
今、本屋さんに行けば必ずと言っていいほどそこにいる。
西部ライオンズのユニフォームを着た、黒髪ボブの女の子。
彼女は、第21回「本屋大賞」を受賞した小説『成瀬は天下をとりにいく』の主人公。
書店で出会える、今最もアツい主人公のひとりです。
感想(ネタバレなし)
小説のニューヒーロー・成瀬あかり
「天下を取りにいく」というタイトルですが、実際に戦うわけでもなく、
成瀬の行動は現実の延長戦にあることばかり。
たとえば、
「閉店間近のショッピングモール西部大津に毎日通い、テレビの特集に毎日映る」
「友人をM-1グランプリに巻き込む」
など、どれも風変わりなもの。
行動力!
日本全体・世界全体を揺るがす大事件を起こすことはしない。
だけど、いつか天下をとる日が来るのではないかと思わせてしまう。
「最高の主人公」なんです。
今を生きる人間に刺さる、成瀬の行動力
『成瀬は天下を取りにいく』は一言で言えば、
「風変わりな女子高校生成瀬あかりが何か行動し、それに友人・島崎みゆきが付き合う話」。
いっしょにやってくれる友だちがいたら、
すてきよね!
すこしでも大衆とはみ出た行動を取れば、なにかと言われる現代社会。
暗い話が後を絶たず、夢を諦め現実に生きることが一番と言われる世の中。
そんななんとなく日本を覆っている閉塞感を、真正面からぶち破るパワーが、この小説にはあります。
「わたしが思うに、これまで二百歳まで生きた人がいないのは、ほとんどの人が二百歳まで生きようと思っていないからだと思うんだ。二百歳まで生きようと思う人が増えれば、そのうち一人ぐらいは二百歳まで生きるかもしれない」
宮島未奈.成瀬は天下を取りにいく.新潮社.2024,p.155
わたしは信じています。
成瀬あかりなら、いつか本当に天下をとってしまう。
そして、もしかしたら200歳、いやそれ以上生きるに違いない、と。
いつか、「成瀬あかり」の名を冠したイカしたおばあちゃん(200歳)の表紙を拝めますように。