おそらく、日本人でアンパンマンをまったく知らない人はいないと思います。
今や国民的ヒーローの「アンパンマン」ですが、
原作者やなせたかし先生がモデルの朝ドラが、2025年『あんぱん』の名で始まります。
2025年に始まる「あんぱん」に向けて、
やなせたかし先生が作品に込めた思いを予習してみませんか?
やなせたかし先生はどんな人?
やなせたかし先生はアンパンマンの絵本『あんぱんまん』シリーズをはじめ、
『やさしいライオン』『チリンのすず』など名作絵本を世に送り出しています。
『やさしいライオン』、小さい頃読んだことあったよ。
絵が温かくて大好きだったな
絵本だけでなく、詩人として詩集も発表しています。
『詩とメルヘン』という文芸誌の編集長を385号刊行するまでつとめていました。
有名な童謡『手のひらを太陽に』はやなせ先生の作詞です。
やなせ先生といえば、マスコットキャラクターのデザイナーとしても有名です。
『人KENまもる君・人KENあゆみちゃん』で見たことある人も多いのではないでしょうか。
学校で見たことある!
このように多岐にわたる活動をしていたやなせたかし先生ですが、
戦争真っただ中の時代に生まれ、
弟を戦争で亡くされ、自身も戦争に駆り出されたことがあるなど、波乱万丈な人生を送った人でもあります。
戦争の時代を生きた人は、正義について何を語るのか。
誰もが愛するヒーロー「アンパンマン」に込めた願いとは。
知りたいと思う方も多いと思います。
そんな方に、おすすめしたい本があります。
『わたしが正義につい語るなら』です。
『わたしが正義について語るなら』 紹介
この『わたしが正義について語るなら』は、
やなせたかし先生の考える「正義」が何か、一冊かけてその答えを語る本です。
この本では
正義についてどう考えているかだけではなく、なぜそう考えるようになったか、
ご自身の生い立ちを交えてお話されています。
やなせたかしの語る正義
本書『わたしが正義について語るなら』で語られる正義は何なのか。
すこしだけ紹介したいと思います。
逆転しない正義は「献身」
やなせ先生は、テレビで人気のヒーロー像に苦言を呈しています。
先生の目に、ヒーローはこのように映っていたのです。
- 派手な服装で街を飛び回り、現れた敵をやっつける。
だけど、貧しい子どもを助ける様子はない。 - 負けた方が悪で、勝ったほうが正義だ。
では、やなせ先生の掲げるヒーロー像とはなんなのでしょうか。
アンパンマンもヒーローです。町を飛び回り、悪いことをするばいきんまんをやっつけます。
他のヒーローと、アンパンマンの違いはどこにあるのでしょう。
それは「飢えに苦しむ人に、食べものを与える」ということです。
先生は、戦争を通じて何よりも恐ろしいことは「食べるものがないことだ」と語っています。
生きていくためにはどうしても、
食べる必要があるからね
だから先生は、
自分が傷つくことも嫌がらず、自分の頭を削って
お腹が空いている人に自分の顔を食べさせるヒーローを描いたのです。
食べものを与えるという行為に限った話ではありません。
先生は、
目の前で苦しんでいる人に手を差し伸べる「献身」こそヒーローの本質と言いたいのです。
正義のための戦いなんてどこにもないのです。
やなせたかし. 新装版 わたしが正義について語るなら. ポプラ社.2024,p.21
やなせたかし先生が「アンパンマン」に込めた願いについて、
さらに知りたい方は、ぜひ『わたしが正義について語るなら』を読んでみてください。