手塚治虫からのメッセージ岩波新書『ぼくのマンガ人生』【本の紹介】

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「漫画の神様」として知られ、『鉄腕アトム』『ブラック・ジャック』をはじめ
多くの名作を世に送り出してきた漫画家・手塚治虫先生

そんな、手塚治虫先生の新書があることをご存じでしょうか?
今回は、手塚治虫先生の『ぼくのマンガ人生』を紹介します。

ラサちゃん
ラサちゃん

『鉄腕アトム』『火の鳥』『ブラック・ジャック』
どれも読んだことある!学校に置いてあるの!

『ぼくのマンガ人生』は、手塚治虫先生の生い立ち・戦争の経験から、

なにがきっかけで漫画家の道に進もうとしたのか、
漫画に対してどのようなメッセージを込めるようになったのか、

それらを語った講演をもとに書かれています。

『ぼくのマンガ人生』はこんな本

この本はこんな人におすすめ
・手塚治虫先生が漫画に込めた願いを知りたい
・子どもに向けた物語を作っているが、なにを伝えるべきか悩んでいる
・中高生から読める新書を探している

手塚治虫のハートフルな肉声

ここからは『ぼくのマンガ人生』のおすすめポイントを紹介します。

マンガを書き始めるまで

『ぼくのマンガ人生』では、手塚先生が漫画に出会うまで、
そして漫画家を志すまでの生い立ちが語られています。

いじめられっ子だった小中学生時代の経験、
お母さんが買って読み聞かせてきてくれた漫画、
理解ある友人、創作の楽しさを教えてくれた先生、漫画を書くことをかばってくれた先生など、

先生の漫画人生に影響を与えた学生時代の人々について、手塚先生の声で書かれています。

ラサちゃん
ラサちゃん

手塚先生の人となりがわかるのね!

テイちゃん
テイちゃん

『ぼくのマンガ人生』では、
他の人から見た手塚先生のこともわかるよ。

手塚先生の友人・石原実さん、
手塚先生の妹さん・宇都美奈子さん、
手塚先生の友人で、育児器具メーカーの社長・葛飾健蔵さんが
手塚先生との思い出を語っているんだ

戦争の経験から、マンガのテーマが生まれた

手塚先生は学生時代、第二次世界大戦を経験した人でもあります。
工場で部品を作ったり、防空壕を掘ったりして、空襲にも遭ったそうです。

戦争が終わったのは突然だと先生はいいます。

焼け野原になった大阪で、それでも街に灯りがついているのを目撃した先生は
「生きていてよかった」と思うようになりました。

しかし、根本的なテーマについては、ぼくは一貫して描きつづけてきたつもりなのです。

手塚治虫.ぼくのマンガ人生.岩波書店.2020,p.28

この「生きていてよかった」が、先生の漫画のテーマになったのです。

子どもにまっすぐなメッセージを

手塚先生は『ぼくのマンガ人生』で、
子どもたちをはじめ、わたしたちにメッセージを残しています。

なにか飽きないで続けられることを、ずっと続けること。
それが自分の強みになるのです。

そして、
命を大切にすること。人間らしくあること。冒険をすること。一期一会を大切にすること。

当たり前のように聞こえますが、どれも大切なことです。

最近は露悪的なもの、なにかを冷笑するもの、
敵対している相手を一方的に成敗してスカッとする作品などが流行りがちな昨今、

まっすぐ、人間的な温かさのある作品に触れる機会は、大切にしたいものですね。

巻末に手塚治虫の短編『ゴッドファーザーの息子』収録

『ぼくのマンガ人生』は新書ですが、巻末に短編漫画が収録されています。
手塚先生の自伝のような内容になっています。

手塚ジャンジャンかけよ
長生きせエよ!

手塚治虫.ぼくのマンガ人生.岩波書店.2020,p. 195

あらすじ

中学時代も漫画ばかり描いていた手塚先生。
ある日不良集団に目をつけられてしまいます。

しかし、リーダー的存在である「明石君」に漫画を見られたところ、
その漫画が大ウケして、手塚先生は漫画を描きつづけることを認められたのです。

そこから手塚先生と「明石君」は仲良くなっていきます…。

手塚先生が経験した、一風変わった友情物語

この漫画では全体を通して手塚先生と「明石君」の友情が描かれています。

小柄な気弱少年と大柄な不良少年の、性格が違うデコボコな二人の友情物語。
なんだかフィクションでも見かけそうな組み合わせですよね。

この短編漫画『ゴッドファーザーの息子』は、
そんな二人が友だちになる過程をコミカルに、そしてシビアに描かれています。

この短編漫画は、楽しい友情漫画なだけではありません。

詳しくは語れませんが、読んだあとのやるせなさがものすごいです。

私は考えてしまいます。手塚先生は何を思って「あの台詞」を描いたのか
最後の一コマのモノローグに書かれた「事実」を知ったとき、何考えていたのか。

これはわたしの個人的な感想ですが、
きっと手塚先生は「読者に伝えたい」というより「自分が忘れたくなかった」のだと思います。

まとめ

『ぼくのマンガ人生』は、わたしたちにも大切なメッセージが込められています。

そのどれもが子どものうちに出会いたい言葉ばかりです。
なので、若い読者にぜひ読んでほしい一冊でもあります。

以上が手塚治虫の『ぼくのマンガ人生』紹介になります。

本記事のまとめ
・『ぼくのマンガ人生』は、手塚治虫先生のメッセージが込められた一冊
・一冊で手塚治虫先生の生い立ちから漫画のテーマを形作った終戦時の経験がわかる
・巻末に短編漫画『ゴッドファーザーの息子』収録

手塚治虫のハートフルな肉声

この記事を書いた人

・読んだ本の数→年間ざっと200冊
・ジャンル関係なく読みます
・超人見知り
・本当におすすめしたい本を厳選。
ときどき好きな文の引用もつけて紹介しています
雑記
→https://bookwormforest.com/category/others/zakki/

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