今回は三宅香帆さんの『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』という本を紹介します。
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』はこんな本
「疲れた人」に寄りそう読書本
本の虫を自称し、「本の虫の森」なるブログを運営しているわたしですが、
学生時代に比べてめっきり本を読まなくなったと自覚している節があります。
そんなとき、新書コーナーで目に入った本が
今回紹介する『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』という本。
帯には「疲れてスマホばかり見てしまうあなたへ」「15万部突破」の文字が。
すでにベストセラーになっている本ということと、
すごく耳に痛い言葉だったので、思わず買ってしまいました。
帯の効果ってすごいね…
読むまでは正直、
新書ということ・おそらく働いている人を対象に書かれていることから、
怖い言葉で「だから現代人はだめなんです、もっとちゃんと本を読みたまえ」
みたいなことが書かれているものと思っていました。
実際は違います。
新書からこんなにも「読めない」ことを責められなかったことはありませんでした。
そして、この本のおかげでまた「楽しんで読めるように」なりつつあったのです。
労働と読書の関係の歴史から
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』は、
日本人の働き方と読書の関係を、各時代の自己啓発書やビジネス書、
当時の働いている人たちがどのように本を読んできたかなどを振り返るところから始まります。
たとえば、『西国立志編』が明治時代のベストセラーとして紹介されています。
明治時代は、立身出世をあおる本が流行っていたのです。
ベストセラーって、時代に合わせて売れるものなのね
読書も趣味も「にわか」で何が悪い
わたしたちはなぜ、スマホばかり見てしまうのか。
それは、
本は求めていない情報(=ノイズ)も出てきますが、
スマホでニュースや動画を検索したり見たりするのは、
得られる情報が自分が欲しいものばかりだから、ということと本には書かれています。
自分に関係のあるものばかりを求めてしまう。それは、余裕のなさゆえである。だから私たちは、働いていると、本が読めない。
三宅香帆.なぜ働いていると本が読めなくなるのか.集英社.2024,p.234
仕事に疲れると、できるだけ効率よく情報を得たいと考えがちになるのです。
えー?
どうせ知りたいことがあるなら、効率いいほうがよくない?
必ずしもそうとは限らないよ。
「必要なものだけ・効率よく」することばかりの社会だと、
置いて行かれる人も増えてしまうんだ
おいて行かれないようにすると、どんどん余裕なくなっちゃう…
どうすれば仕事と読書を両立できるのか。
答えのひとつとして、著者の三宅さんは「半身社会で生きる」ことを提唱しています。
本だって、全力で読まなくてもかまいません。
推し活などの趣味も「にわか」でよいのです。
全身全霊をつくさなくても、力を入れなくても本は読める。
昔は当たり前に「そうしていた」ことを思い出しました。
わたしのように、この本に救われる人も多いと思います。
本から離れた人ほど読んでほしいです。
「あとがき 働きながら本を読むコツをお伝えします」も要チェックだよ。
本が読めない、でも読みたいと思う人は試してみてね
できるコトから始めようね!
まとめ
以上『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を紹介しました。
本記事のまとめ
・「疲れた人」に寄りそう新書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』
・ビジネス書の歴史から働いている人が本を読めない理由を読み解く
・「ノイズを受け入れるための」読書をするために読んでみてほしい
本が読めないということは、仕事に夢中で余裕がないということ。
だから、仕事に全身を注ぐのはやめて、ほどほどにしよう。
そして、本を読む余裕を持てるようにしよう、ということです。