夏に新しく読書の習慣をはじめたい人は多いと思います。
現代が舞台の物語もいいですが、古典を元にした話も読んでみませんか?
今回ご紹介するのは『おちくぼ姫』という角川文庫の名作古典です。
おちくぼ姫はこんな本
ごあんない
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「ほんとうなら、お姫さまは、ここの三の君さまたちより、貴いお血筋なのよ、それなのに、あちらは蝶よ花よとたいせつにされて、お姫さまおひとりは、殿さまのおん子の数にも入らず、縫い物ばかりさせていらっしゃるなんて、あんまりお気の毒だわ」
田辺聖子.おちくぼ姫.角川文庫.2020,p.18
『おちくぼ姫』は「王朝版シンデレラ」
『おちくぼ姫』の元になった『落窪物語』は、作者不詳、書かれた正確な時期も不詳。謎に包まれています。
現代語訳をした田辺聖子先生によると、この『おちくぼ姫』は、
『落窪物語』を元に若い読者に分かりやすく、読みやすくアレンジされたもので、
そのため、原典とは少し内容が異なっているとのことです。
今回原典にあたることができなかったので、比較はできませんが、
もし元の『落窪物語』をお持ちの方は比較してみると楽しいと思います。
中高生からでも読めるよ
まさに「日本のシンデレラ」 継子いじめ譚
高貴な生まれなのに、
継母におちくぼんだ部屋に住まわされ、みすぼらしい服を着せられ、縫い物ばかりさせられている「おちくぼ姫」
そんな彼女のうわさを聞きつけ、求婚する少将が現れますが…。
これが、この本のあらすじです。
いじわるな継母にいびられる毎日、そこに現れる王子様…
シンデレラに似ていますね。まさしくシンデレラストーリーなのです。
ちなみに、このような昔話のことを「継子いじめ譚」と呼ぶそうです。
難しい用語なし、時代特有の言葉・事象には補足が入る
『おちくぼ姫』は、初めて古典を読む人におすすめです。
なぜなら難しい用語はなく、その時代固有のものは現代的な表現に置き換えられているか、
ほとんどが文の中に補足されるからです。
『おちくぼ姫』は、
古典や昔話は必要な知識があってなかなか手が出せない人にも読みやすい本になっています。