NHK大河ドラマ『光る君へ』は紫式部が主役の話でしたが、清少納言も登場していました。
ドラマを見て、清少納言の枕草子に興味を持った方も多いのではないでしょうか。
この記事では、私が最近夢中になっている『枕草子』の個人的な楽しみ方と、
実際に繰り返し読み返しているおすすめの本を紹介します。
『枕草子』の楽しみ方
「古典だから」と気負わずに、気軽な読み物として
千年たっても変わらない人間を描く、だから親近感がわく
枕草子は約千年前に書かれたものですが、
日常風景や人間観察の観察と感じたものに関する記述が多く、
現代の私たちも共感できるところは多いです。
よくもわるくも、人間って変わらないのね
好きなところから、好きなように読む
また、枕草子は古典の中でも比較的気軽に読める部類の作品になっています。
内容の親近感もそうですが、
枕草子は決まった順番がないので、
きになったところや、読み返したいところ、気分でパラパラめくってあたったところを読むなど、
自由な読み方ができます。
話の流れを意識せず、好きな時に好きなところを好きなだけ読むことができるのです。
漫画や動画の解説から入って、きになったところから現代語訳を読んでいくといいです。
〇まずは気軽に親しもう 枕草子のおすすめ漫画『新編 本日もいとをかし!! 枕草子』
枕草子には、エッセイ風の漫画もあります。
面白くて読みやすいうえに、しっかり専門家の監修もあります。
気楽に読みたい人にも、じっくり学びたい人にも、一冊目におすすめできる漫画です。
漫画の絵のタッチは感情豊かで、漫画らしいいきいきした感じが出ています。
(漫画作者の小迎先生はプロのイラストレーターで、コミックエッセイの本も出されています)
学習の入り口としてわかりやすく内容を伝えるために書かれた漫画、
いわゆる学習漫画やビジネス書の「まんがでわかる」系とはまた違った、
エンタメ色の強い勢いがあります。
こちらの記事で『紫式部日記』『更級日記』といっしょに紹介しています↓
〇現代語訳で本格エッセイとして親しむ 光文社古典新訳文庫の現代語訳『枕草子』
現代語訳は各出版社から数多くでています。
読んでみて、自分に合った現代語訳を選んで、できれば数冊読み比べてお楽しみください。
個人的にイチオシしているのが、佐々木和歌子先生による、光文社古典新訳文庫から出ている版です。
2024年と最近出た現代語訳で、「超〇〇」「映える」「萎える」など
現代っ子な言い回しが特徴です。
ラフな口調ですが、違和感なく読むことができる、読みやすい文章です。
巻末には枕草子の背景を知るための情報がたっぷりあります。
季節の行事、平安王朝の文化、どんな服を着ていたか、二次元コードで読み取れる日本の伝統色、
枕草子に関連するできごとの年譜など、知ってから読むと一層面白い発見があります。
解説には、清少納言時代の宮廷はどんな文化だったのか、
そもそもどうして枕草子が成立したのかについて書かれています。
堅すぎず、くだけすぎない、でもちょっと砕けた寄りの印象の現代語訳。
そして、楽しく明るいだけじゃない裏側も垣間見える宮廷ガイドと解説。
この本は、それらがバランスよくまとまっています。
現代語訳の一冊目の本に最適です。
原文を味わおう
「春はあけぼの」の段は、美文として今も高い評価を受けています。
現代語訳だけ満足するのはもったいない。ぜひとも原文に触れてみてほしいと思っています。
原文つきの注釈書などで、音読のテキストとして読んでみるのもおすすめ。
なんとかいてあるのか読めなくても、言葉の響きを純粋に楽しんで読んでみてください。
〇原文の美しさにはまる、ステップアップのための二冊
まずはここから!『角川ソフィア文庫ビギナーズクラシック』
角川ソフィア文庫ビギナーズクラシックは、原文と共に内容を味わいたい人向け。
音読に便利なふりがなもついています。
枕草子のエッセンスと、美麗な原文を同時に味わえるお得な入門本です。
平安の文化をイメージできる挿絵も豊富です。
注釈も『角川ソフィア文庫』版がおすすめ!(上・下二冊)
注釈本も各出版社から出ていますが、角川ソフィア文庫上下巻は手に取りやすいです。
文庫本という手軽さがありながら、原文を損なわない訳、最新の研究への言及などがあり、
さらに深く枕草子を知ることができます。
新丁版が今年出たばかりなので、この本では最先端の枕草子像を見ることができるのです。
原文の章と現代語訳の章に分けられているので、
原文だけ読みたい気分のときも、訳だけ読みたい気分の時もおすすめです。
時代背景などの解説、家系図や宮廷の周辺図などは下巻にあります。
上下巻まとめてお楽しみください。
まとめ
本記事のまとめ
・枕草子の読み方は自由!
・気軽なエッセイとして楽しむもよし。できたら原文も読んでみて!
以上、枕草子おすすめの本を紹介しました。
古典文学には普遍的な魅力があるので、枕草子をきっかけにいろいろと読んでみてください。